お金のコラム
初めてクレジットカード現金化を利用するにあたって、気になるトピックのひとつが「クレジットカード現金化は違法か、合法か」ではないでしょうか?
クレジットカード現金化業者の公式サイトなどでは安全・安心の取引をうたい、一見すると何も違法性がないと感じられます。
しかし、現金化業者や利用者の側に立つか、クレジットカード会社や法律の専門家の側に立つかで、違法・合法の見解が分かれているのが現状です。
クレジットカード現金化は違法性が高いサービスなのか、あるいは合法で利用しても問題がないのか、徹底検証してみましょう。
クレジットカード現金化の逮捕事例
クレジットカード現金化業者が過去に法律違反で逮捕された事例をご紹介します。
違法性のあるキャッシュバックが摘発された事例①
2011年8月、東京都台東区の貴金属販売会社の元代表で飲食店経営の橋本幸治容疑者(41)が、クレジットカードのショッピング枠を現金化する方法で事実上のヤミ金融を営んだとして逮捕されました。
罪状は出資法違反(高金利、脱法行為)の疑いで、カードの現金化業者が同法違反で逮捕されたのは全国で初です。
業者側は融資を求める客に1個30円~120円の商品をクレジットカード決済で数千円~百数十万円の高額で購入させ、カード会社から入金される代金の一部を差し引き、残りの現金を客にキャッシュバックする方式でカードのショッピング枠を現金化していました。
さらに、業者側はカード会社から確実に入金される仕組みを利用していたため、警視庁は「実態としては差し引いた代金の一部を利息とする貸金業に当たる」と判断、出資法違反が問われました。
事例:https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0500Q_V00C11A8CC0000/
違法性のあるキャッシュバックが摘発された事例②
2012年7月、元現金化業者の福場秀樹容疑者(33)らが、実質的に高金利で資金を貸し付けるヤミ金融を営んでいたとみて出資法違反の容疑で逮捕されました。
警察によると、福場容疑者らが現金化業で得た手数料を金利換算すると最大で法定利息の70倍に相当、約4500人の顧客から手数料名目で総額約23億円の金利を得ていたようです。
福場容疑者らは2005年ごろから2012年7月ごろまで、クレジットカードで顧客におもちゃの指輪などを数十万~数百万円で購入させ、カード会社側から入金される代金から20~30%の手数料を差し引いた額を顧客にキャッシュバックしていました。
2011年8月に別の現金化業者が摘発されたことに危機感を覚えた福場容疑者らは、顧客に商品リストを送って注文させる方法を導入、正規の通販業者を装っていたようです。
事例:https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0500Q_V00C11A8CC0000/
違法性のある商品買取で摘発された事例
2016年、衣料品売買を装ったヤミ金業を営んだとして、警察は出資法違反容疑で松田利男容疑者(76)と王陽容疑者(46)を逮捕しました。
警察によると、2人は東京・上野の雑居ビル内で、カバンや洋服の販売業と買い取り業を装った店舗をそれぞれ設置。商品の販売名目でカード決済を行った後、買い取り名目でその場で貸付金を顧客に渡していました。
貸付金の回収が確実にできることから、カード決済を利用したと見られています。容疑者らは平成18~27年で、約2億1千万円の利益を得ていたようです。
事例:https://www.sankei.com/affairs/news/160303/afr1603030011-n1.html
現金化方式の問題点
3つの逮捕事例を紹介しましたが、いずれもキャッシュバック方式、商品買取方式で高金利の現金化を行っていたことが焦点となっています。
しかし、「高金利でなければセーフ」というわけでは決してありません。
大前提として、クレジットカード現金化は「クレジットカード決済で購入した商品が利用者の手に届く」ということが違法性を回避する絶対条件です。
そのうえで、キャッシュバック方式と商品買取方式を法律に照らし合わせた場合、どのあたりが違法性が高いと見なされるのか、それぞれの問題点を解説します。
キャッシュバック方式の問題点
キャッシュバック方式は、業者が指定するキャッシュバック特典付き商品の「特典」で利用者に現金が振り込まれる仕組みです。
この特典付き商品が100円ショップの既成製品や、誰でも作成・複製が可能なメディア(CD-Rなど)、ネット上で無料で配布されているような情報商材の場合、キャッシュバックされる金額と商品価値が釣り合いません。
これは景品表示法に抵触する可能性があります。
景品表示法は、景品を目当てとして商品やサービスの価値を偽って販売・提供すること、商品やサービスの価値に対する嘘、偽りの情報で広告宣伝をすること、あるいは、価値のないものを付帯する景品や特典で価値があるように見せかける販売方法を取り締まる法律です。
事業者が過大な景品を提供することで、消費者がそれに惑わされて本来は相当の価値が無いものなのに、質が良くない割高なものを買わされてしまうことは消費者にとって不利益になります。
そこで景品表示法では、景品の最高額、総額等を規制する景品類限度額を設け、一般消費者の利益を保護しています。
たとえば、5,000円未満の商品には取引価額の20倍、総額で懸賞に係る売上予定総額の2%までの景品しか付けることができません。
これに従ってキャッシュバック方式を合法取引とするなら、特典のキャッシュバックの金額相当の商品である必要があります。
ただし、現金化のキャッシュバック方式では、商品に付帯するキャッシュバックは「景品」ではなく、実質的な「値引き」であるため、景品表示法違反に当たらないとされています。
商品買取方式の問題点
逮捕事例の3番めで紹介したように、現金化業者が自ら販売した商品を自ら買い戻すことで割り引いた金額を渡し、後日カード会社より支払いを受けるという行為が「商品取引を偽装した貸金業」と見なされました。
これを合法取引とするには、現金化業者が指定する商品の購入先が、現金化業者とは関連のない業者であることが絶対条件です。
つまり、パチンコ店のような「三店方式」が必要なのです。
商品買取方式で営業している現金化業者は、この「三店方式」を採用しています。
クレジットカード現金化利用者の違法性
クレジットカード現金化が違法か合法か、見解が分かれるところですが実際には逮捕者も出ています。
では、クレジットカード現金化を利用する側に違法性はないのでしょうか?
現在のところ、クレジットカード現金化の利用者が逮捕された事例はありません。
しかし、あらかじめ知っておくべきクレジットカード現金化利用者の問題点があります。
横領・詐欺行為の疑い
現金化利用者の問題点のひとつは、クレジットカード決済で購入した商品は代金が完済されるまでクレジットカード会社に所有権があり、これを第三者に転売することで横領罪に該当する可能性があることです。
クレジットカード現金化は、ショッピング枠の割賦取引の対象である商品を第三者に転売する行為に他なりません。
割賦取引とは、クレジットカード利用者に代わってクレジットカード会社が商品を購入、代金の支払いを完了してから商品の所有権がカード利用者に移る取引を指します。
この割賦支払い満了(商品代金の完済)までの間は「所有権留保」といい、商品の所有権はクレジットカード会社にあります。
したがって、クレジットカード決済で購入した商品の代金を支払い終わっていないにもかかわらず、現金化業者に売ってしまうと横領罪が疑われるおそれがあるのです。
自己破産手続き上の免責不許可事由に該当
自己破産とは、裁判所に「破産申立書」を提出して、条件付きですべての借金を帳消しにしてもらう手続きのことです。
債務を返済できるだけの資産がなく、収入も十分でない「支払い不能」の状態である場合に、自己破産は認められます。
しかし、借金の原因がギャンブルや浪費である場合など「免責不許可事由」がある場合は、自己破産が認められないことがあります。
この「免責不許可事由」にはクレジットカード現金化を利用したことも含まれます。
免責不許可事由があるからといって必ずしも免責不許可の決定が下されるわけではありませんが、自己破産の申立は限りなく不利になります。
クレジットカード利用規約違反
クレジットカード会社は、換金目的でショッピング枠の利用を規約で禁止しており、発覚した場合は利用停止(一括返済)または会員資格の停止となるおそれがあります。
なぜなら、本来クレジットカードのショッピング枠は商品代金の支払いをするためのものであり、換金目的での利用は契約に違反する行為だからです。
クレジットカード各社のホームページでも、クレジットカード現金化を利用しないよう注意喚起しています。
参考:https://www.jcb.co.jp/service/safe-secure/notice/trouble/#007
クレジットカード現金化を利用したからといって、即カード利用停止になるわけではありません。
しかし、換金性の高い商品の連続購入など、換金目的が疑われるカード利用に対しては常に厳しい監視の目を向けています。
カード利用停止のリスクを最小限に抑えて現金化を利用したいのであれば、「利用停止トラブルゼロ」「クレーム件数ゼロ」の実績のある優良業者と取引することが必要不可欠です。
クレジットカード現金化業者は合法 or 違法
クレジットカード現金化業者の違法性について、法律家の見解と現金化業者側の見解を併記してご紹介します。
法律によるクレジットカード現金化
現金化業者が出資法違反・貸金業法違反として逮捕されたケースは、ショッピング枠をキャッシング目的のために利用させるという商法が、ショッピングを装った現金の貸付であると判断されたことに他なりません。
現金の貸付を行うのであれば貸金業法にもとづいて登録をしなければなりませんが、逮捕された現金化業者は貸金業の登録をしていなかったため、貸金業法違反で摘発されています。
さらに、現金化を貸金業とした上で換金率を金利に換算すると、出資法の上限金利(年15%~20%)を大幅に超過しているため出資法違反にもなります。
現金化業者のなかには、古物商免許を所持していることで合法的なサービスであると主張するところもありますが、「古物商の許可」はあくまでも中古品の売買取引を許可しているだけに過ぎません。
決して、クレジットカードのショッピング枠を現金化する商法の許可をしているわけではないのです。
取引形態によるクレジットカード現金化
現金化業者側には、古物商法に則った商取引を行っているため違法性はないとの見解もあります。
クレジットカード現金化は「中古品を買い取り、その買取代金を支払っているに過ぎない」のであり、お金の貸し借りを行う貸金業ではなく、あくまでも商取引を行う中古品売買の範疇であるという主張です。
現金化の仕組みが実質的には貸金業法と言えるものであっても、取引形態で見ればお金の貸し借りではない中古品売買と見ることもできます。
そのため、現在営業を続けている優良なクレジットカード現金化業者が、出資法違反や貸金業法違反で逮捕されることはありません。
以上のような見解の違いから、クレジットカード現金化は違法でも合法でもない、グレーゾーンであるとされているのです。
個人でクレジットカード現金化する場合の違法性
現金化業者を利用せず、個人でクレジットカード現金化を行うことは違法性が問われるのでしょうか?
まず、「クレジットカード現金化利用者の違法性」で指摘したように、クレジットカード会社に所有権のある(所有権留保)商品を、購入代金が未完済の状態で第三者に転売することで横領罪に問われる可能性は、個人でクレジットカード現金化を行う場合でも同様です。
さらに、古物商免許無しでクレジットカード現金化を行った場合は、個人であっても古物営業法違反に問われる可能性があります。
利益を得る目的で業として中古品を転売する行為は古物営業にあたるため、古物商免許が必要となります。
ここで言う中古品とは、一度でも所有権が販売者から購入者に移った商品を指します。クレジットカード決済で購入後、すぐに売ってしまった商品はすべて中古品扱いです。
ただし、個人でクレジットカード現金化を行った人が出資法や貸金業法に違反したとして逮捕された事例はありません。
実際に古物商許可を得ずに転売行為で稼ぐ人もいますが、「本来は自分でクレジットカード現金化は違法だが、個人が摘発された例が無い」というのが現状です。
知っておきたいクレジットカード現金化のリスク
クレジットカード現金化が合法か、違法かにかかわらず、利用する上で知っておくべきリスクがあります。
個人情報の流出
クレジットカード現金化業者を利用するにあたっては、不正利用防止を目的とした身分証明書の提示による本人確認が行われます。
本人確認で使用される個人情報は氏名、住所、電話番号、メールアドレス等です。
優良業者であれば、入手した個人情報は厳重に管理されるため、目的以外での利用は考えられません。
しかし、取引相手が悪徳業者であった場合は、なりすましやカードの不正利用につながります。
万が一個人情報が流出してしまうと、取り返しのつかないトラブルに巻き込まれる可能性があるのです。
高換金率の詐称
カード現金化をめぐるトラブル事例には、ホームページや広告で高換金率を提示しておきながら、いざ取引となったときにさまざまな名目で手数料を請求して、利用者に不利な取引を持ちかける業者の存在が報告されています。
前述の通り、クレジットカードは貸金業ではないため、銀行や消費者金融会社でお金を借りる場合と違って審査不要です。
しかし、悪徳業者は本来必要のない「審査料」や「調査料」といった名目の手数料を請求され、最終的に換金率が60%~70%になってしまったという事例もあります。
高換金率という謳い文句に躍らされず、多少条件が見劣りしたとしても、安全性の高い優良業者と取引することが重要です。
まとめ
クレジットカード現金化の違法性について解説しました。
立場によって違法・合法と捉え方は異なりますが、現状では「クレジットカード現金化はグレーゾーンのサービスである」が一般的な見解です。
一方で、グレーゾーンのサービスであることを十分に承知の上で、なお緊急時の資金調達としてクレジットカード現金化を利用する人がいることも事実。
クレジットカード現金化は違法性が高いことや、悪徳業者の存在を理解した上で、リスクを最小限に抑えられる優良業者を選ぶことが大切です。
優良業者は利用者の声や口コミ評価を参考にして選びましょう。
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